糖尿病科
日本では、糖尿病の人は740万人もいると言われています。その半数近くの人が検査を受けていないため、全く治療されていない状態にあります。
また、糖尿病予備軍を含めた数は1620万人とも言われています。
まさに、糖尿病は現代の国民病と言えます。
糖尿病は膵臓から出されるインスリンというホルモンが少なくなったり効きが悪くなったりし、血液中のブドウ糖(血糖)をうまく利用できなくなり次第に血糖が高くなります。
この高血糖状態が長く続くと血管や神経が傷つき合併症を引き起こします。
糖尿病になるとやがてインスリンを出す膵臓のβ細胞が障害を受け、元の状態に戻らなくなります。
したがって、糖尿病になる前のいわゆる「かくれ糖尿病」の状態で発見し、ライフサイクルの改善を行うことが重要です。
しかし、かくれ糖尿病、糖尿病の初期の段階では自覚症状はほとんどなく、症状による早期発見は難しいのが現状です。
糖尿病の早期発見のためには定期的に検査を受ける必要があります。
検査も空腹時での血糖、検尿ではかくれ糖尿病、初期の段階の糖尿病は見落とされる可能性があります。
空腹時血糖値が100mg/dl以上の方はHbA1c(過去1~2ヶ月間の血糖値の平均を反映する指標)と食後1~2時間の血糖を調べることをおすすめします。
さらに、HbA1cが5.8%以上、食後血糖値が高い方(推奨されている値はありませんが160mg/dl以上)は75g経口ブドウ糖負荷試験(75gのブドウ糖を溶かした水を飲み、2時間後の血糖値などを測定する検査)を受けられることをおすすめします。
なお、HbA1cが6.5%以上、食後血糖値200mg/dl以上の方は糖尿病である可能性が極めて高いと考えられます。(両方とも認められると糖尿病と診断)
糖尿病が進行すると口渇、多飲、多尿、疲れやすい、体重減少といった症状があらわれてきます。
そうなると合併症を起こしている可能性があります。
合併症には急性と慢性があります。
急性は血糖値が急激に上昇し、糖尿病性昏睡(意識を失い)を起こし命にも関わることがあります。
慢性には糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症があります。
糖尿病神経障害は足のしびれ・痛み・こわばり・ほてりなどの症状で比較的早くからあらわれます。
悪化すると、めまい、勃起障害や傷などがきっかけで壊疽になることもあります。
糖尿病網膜症は眼底の血管がつまったり出血して視力の低下が起こります。
進行すると失明することもあります。
年間3,000人以上が失明し、成人では失明の原因の第一位です。
早期には自覚症状がないので眼科での定期検査が必要です。
糖尿病腎症は進行すると腎不全を起こし、さらに進行すると人工透析が必要になります。
糖尿病腎症が原因で透析を開始される方は年間約1万2千人で、人工透析患者の約3分の1を占めています。
合併症にはさらに心筋梗塞、脳梗塞があります。
合併症があっても血糖値のコントロール(HbA1c6.5%未満)を行うことによって、合併症の進行を抑制することが可能と言われています。
糖尿病の治療はライフサイクルの改善が第一です。
当クリニックでは患者様と食生活、運動習慣、睡眠時間、アルコール、喫煙、ストレスについて十分話し合いライフサイクルの改善に重点を置いています。
糖尿病の治療にはその方その方の生活環境、仕事、病気(膝が悪くてジョギングできない等)を十分考えて行っています。
患者様と話し合って治療方針を決定しますのでどうぞ不安を抱かずにご来院ください。
また、検査で血糖値が高い、尿に糖が出ているといわれた方、以前いわれていたが放置している方も心配せずにご来院ください。
740万人いるといわれている糖尿病の半数近くの方は検査、治療を受けられていません。
早期発見、早期治療を行い糖尿病の不安を解消しましょう。